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山田順の「週刊:未来地図」
No.851 2026/09/22
これは衝撃ではないのか?
テスラが人型ロボット生産を中国・寧波で開始!
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日本のメディアは「AIが人類を滅ぼす」「AI開発を遅らすべき」という話ばかり取り上げ、テスラの衝撃的な最新ニュースはほとんど報道しない。
テスラはなんと、人型ロボット「Optimus(オプティマス)」の生産拠点として、中国・寧波(ニンポ)を選んだのである。中国のサプライチェーンの集積なしには、人型ロボットはつくれないからだ。
私たち日本人は、この状況を深刻に認識しなければならないと思う。寧波は、世界最先端のスマートシティである。
写真:China Integrated City Index
[目次] ──────────────
■中国と競争するのではなく活用することに進路転換
■なぜテスラは、中国・寧波を最適地としたのか
■問題はFCCの規制をどうクリアするか?
■寧波は遣唐使の時代から日本から中国への玄関口
■自動運転車を生産し、走らせている最先端都市
■「スマート製造」「ハイテク部品」で世界トップ
■「低空経済」と「次世代エネルギー」の開発・構築
■つくづく実感する世界から大きく遅れた日本
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■中国と競争するのではなく活用することに進路転換
テスラ株が急騰している。
そのキッカケは、9月16日に、テスラのチームが中国の寧波に到着し、人型ロボット「Optimus(オプティマス)」の新たな量産審査を開始したというニュースだ。フィジカルAI搭載の人型ロボット(ヒューマノイド)は、今後の社会を一変させるテクノロジーだ。
テスラは、人型ロボットの開発・生産にあたって、中国企業と正面から競争するのではなく、中国の製造能力を活用する方向へ舵を切ったのである。
テスラの発表によると、まずは年間5万台規模の生産を開始するという。テスラはすでに中国のサプライチェーン企業に発注を行っており、計画では今後生産した「オプティマス」を、世界各地のギガファクトリーに配備するという。
■なぜテスラは、中国・寧波を最適地としたのか
では、なぜテスラは、中国・寧波を選んだのか?
恥ずかしい話だが、今日まで私は、寧波が人型ロボット生産の最適地であるとは知らなかった。報道によると、寧波には、ロボットの「関節」や「筋肉」にあたる最先端部品の世界的拠点が集中しているのだという。
ロボットの製造には、高性能なアクチュエーター(駆動装置)、減速機、モーター、センサーが大量に必要とされる。寧波には、拓普集団(Tuopu Group)や均勝電子(Joyson Electronic)、近隣には三花智控(Sanhua)といったテスラの自動車事業にとって緊密なサプライヤーが揃っており、オプティマスの生産には、彼らの精密加工技術が必要なのだという。
もう一つ、大きな理由は、中国で生産すれば安価にできることだ。イーロン・マスクはロボットを2万ドル(約320万円)以下で販売する目標を掲げている。中国での生産はこれを可能にする。
モルガン・スタンレーの試算によると、「Optimus Gen2」が中国製部品を完全に排除した場合、材料コストは約4.6万ドル約13.1万ドルに跳ね上がるという。
■問題はFCCの規制をどうクリアするか?
ただし、中国生産には大きなハードルがある。
米国連邦通信委員会(FCC)は、この7月に人型ロボットなどを「対象機器リスト」(Covered List)に加え、海外で生産されたロボットに対して、アメリカへの輸入や販売を原則禁止する規制を打ち出したことだ。
これは、中国に対する措置だが、いくら米国企業といえども、規制の対象になる。ただし、海外で生産しても、「最終組み立て」を米国内で行い、なおかつ部品の一定割合(2028年までに価値ベースで65%以上、2029年には75%以上)を米国ドメスティックで生産したものであれば、アメリカ国内での利用・販売が認められる。
テスラは、この規定にしたがい、寧波のサプライヤーからコア部品や技術を調達しつつも、最終組み立てをテキサスなどのギガファクトリーで行うことで、「中国製ロボットの輸入」という規制の網をすり抜ける計画という。
ちなみに、このFCC規定でもっとも困っているのは日本だ。
