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田村秀男ウェブマガジン 経済がわかれば世界がわかる

田村秀男(ジャーナリスト)

田村秀男

「金利ある世界」はだれのためにあるのか?

日銀は3月19日、マイナス金利、長短金利操作(YCC)などによる大規模緩和政策の一挙解除を決めた。実体経済の需要が弱々しいにもかかわらず、「金利が上がる世界」への道に踏み出した。その先にはデフレへと舞い戻る「わな」が待ち構えている。

日銀は平成28年2月以来、政策金利をマイナス0・1%に設定してきた。それを打ち切り、政策金利を0~0・1%に引き上げた。同年9月開始のYCCは、短期金利のマイナス水準に見合うよう国債を中心とする長期金利を低めに抑えるよう市場操作を行う。最近では長期金利の1%上限を「めど」としていた。日銀はそれも撤廃した。

三菱UFJ銀行や三井住友銀行はさっそく普通預金金利を0.001%から0.02%に引き上げた。日本経済新聞はこれを「金利ある世界〜日本再起動」という連載記事2回目に取り上げ、「金利が解除前の20倍」と仰々しく取り上げたのには思わず笑ってしまった。0.02%利子なら100万円預けて年200円。貸し出し金利は0.02%どころでは済まないから、中小企業、零細事業者は金利負担増に脅える。

金融機関は金利が上がれば収益が膨らむ。国内銀行の貸出残高は昨年9月末時点で686・4兆円、金利0・1%分は6864億円だ。短期金融市場の1日当たり規模は2月24日時点で19・28兆円、0・1%は192・8億円に上る。実体経済あってこそなのに、金融機関利害を優先する政策なら本末転倒だ。

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