… … …(記事全文2,170文字)「失われた30年」の歴代の政権は景気対策を名目に、「利権」と直結する公共投資を上積みしたが、そこに危機感を抱いたのが財務官僚である。バブル崩壊後の後遺症がひどいためなのだが、財政出動しても経済はさほど好転せず、税収は伸びずに財政収支が悪化すると財務官僚は言い出した。
97年、橋本龍太郎内閣は財務官僚の勧めに応じて消費税増税など一連の緊縮財政に踏み切ったところ、阪神大震災後(1995年1月)の復興需要で立ち直りかけていた景気は一挙に減速した。需要が収縮し、新たなデフレ局面に入り、現在に至る。先述したように、民主党政権は東日本大震災を受けて、財務官僚に言われるまま復興増税、さらに大型消費税増税に踏み込んだ。2013年に本格化した「アベノミクス」はもっぱら金融緩和と円安頼みで、財政のほうは総じて緊縮と大型消費税増税に引きずられた。
安倍晋三元首相は財務省による増税包囲網を突破出来なかった。日本経済はデフレから脱出出来ないまま、2025年でまる30年になるが、出口が見えないどころか、さらに悪化しかねない。
