… … …(記事全文2,166文字)中国景気は電気自動車(EV)、人工知能(AI)など新産業が軸になって拡大基調にあるとの見方は、眉唾物だ。中国経済は消費が停滞し、投資は急減し、国内総生産(GDP)はマイナス成長に陥っている。
中国国家統計局はこのほどことし1-6月期の実質国内総生産(GDP)の前年同期比伸び率を4.3%と発表した。後述するが、それは中国特有の「大本営発表」で、虚偽(フェイク)に近い。有力経済メディアは一応「中国内需は不振」などと解説する一方で、中国が新産業分野で世界シェアをぐんぐん伸ばしているとの記事を連発する。これではわけがわからない。
真相は何か。
踏まえるべきは中国のGDP集計のやり方だ。中国共産党が仕切る各地方政府の統計局が事業者を対象に粗利益(付加価値)を報告させ、北京の国家統計局が総合する。これだと、地方から中央までの集計の各段階に介在する者たちによる恣意的な数値操作が入りかねない。共産党一党支配体制のもとでは、国家の基幹統計には政治的判断が影響する。各地方の党幹部は党内の出世争いを意識し、党中央が前年末までに打ち出す翌年の経済成長率目標を達成しようと躍起となる。そこで帳簿改ざんの誘惑に駆られる。
GDPの算出方法は、生産サイドでみる中国式のほか、日本など西側世界の消費、投資など支出サイド、さらに分配(雇用者報酬、減価償却、税など)サイドの3つがある。数値が一致する「3面等価の法則」が成り立つ。西側各国は可能な限り3面のデータを付き合わせ、正確を期そうとする。GDP統計が不確かではまともな経済運営ができるはずはない。
目立たないが、中国国家統計局も実は支出面での項目を導き出せる原データを集計している。そこで拙論は、統計局公表データから固定資産投資、家計消費、政府消費、純輸出(貿易収支黒字)の名目値を拾い出して、「成長寄与度」を算出した。寄与度を合計すると、実際の名目成長率にほぼ相当する数値をはじき出せる。グラフには中国当局発表の名目成長率を加え、支出ベース成長率とのかい離がどれだけか明示した。中国はまさにマイナス成長に落ち込んでいる。


