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山田順の「週刊:未来地図」
No.832 2026/05/19
トランプは習近平にボロ負けしたのか?
どうなる日本の今後?米中首脳会談の本当の姿
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米中首脳会談(トランプvs.習近平)が終わり、山ほど観測記事が出ている。そのどれを読んでも、いったい、なにが話し合われ、なにが決まったのか、よくわからない。
もとより、核心部分が両政府から公表されるわけがなく、メディアもジャーナリストもほんの一部を除いて、核心に迫れるソース(情報源)があるわけではない。私など、ほぼなんのソースも持っていない。
よって、今回はいろいろ伝えられていることを、私なりの見方によってまとめてみる。
写真:White House Official Photo
[目次] ─────────────────────
■「建設的な戦略的安定関係」(G2)が決まった!
■スルーするつもりの台湾問題で釘を刺された
■「中国訪問を詳細に説明いただいた」は本当か?
■まるで企業トップを携えた中国への朝貢団
■白人優位主義者のくせに中華文化、中国人を称賛
■なぜ、大物CEOたちは北京に行ったのか?
■なんのことはない、関税引き下げ、通商拡大で合意
■トランプのファミリービジネスのための訪中か?
■親分が帰った後に観光旅行を楽しんだCEOたち
■アメリカは「トゥキディデスの罠」に陥るのか?
■どうする高市首相?日本の周囲は「敵」だらけ
■ニクソン訪中後、田中角栄は勇んで訪中した
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■「建設的な戦略的安定関係」(G2)が決まった!
まず言えるのは、多くのメディア、専門家が「トランプはたいした成果を挙げられなかった」としていること。なかには「習近平にボロ負けした」と伝えたところもある。
日本の一部の中国嫌いの保守だけ、「中国は追い詰められた」などとしているが、表面だけを見れば、明らかにトランプは負けている。
日本の保守派、高市応援団が期待した「米中対立」(=アメリカによる中国封じ込め)が強化された形跡は一つもない。むしろ、トランプが譲歩し、中国と経済的にうまくやっていこうと手を握ったとしか見えない。
習近平が初めて提唱した言葉「米中の建設的な戦略的安定関係」、つまり「G2」をトランプが受け入れたというのが、今回の会談の大勢と思える。
■スルーするつもりの台湾問題で釘を刺された
5月14日の米中首脳会談の席で、習近平は台湾問題を持ち出し、「処理を誤れば米中が危険な状態に陥る」と、トランプに警告した。アメリカ側は、台湾問題に関してはスルーするつもりだったが、いきなりの習近平の言及にトランプは戸惑ったという。
実際、会談後にトランプは、記者からの「台湾問題を扱ったか?」という質問には答えなかった。
トランプは15日夜のFOXニュースのインタビューで、台湾に関して「正式な独立宣言をしないよう警告」し、「(米軍が)戦争のために9500マイルも旅をすることを望んでいない」と述べた。また、台湾への武器売却については、「やるかもしれないし、やらないかもしれない。こちらは戦争をしたいとは思っていないし、いまのままにしておけば、中国はそれでOKだと思う」と続けた。
5月18日になって、アメリカ政府は、米中首脳会談のファクトシートを公開したが、台湾問題への言及はなかった。
高市首相がもっとも懸念した台湾問題に関しては、これがすべてである。トランプ発言が示すのは、高市首相の「台湾有事は日本有事」発言が、いかに思慮を欠いた、取り返しのつかないものだったということである。
■「中国訪問を詳細に説明いただいた」は本当か?
5月15日夜、日本政府は、帰国途上のトランプと高市首相が約15分間にわたり電話会談をしたことを発表した。中国訪問を終えて帰国途上の機内から、電話がかかってきたという(本当か?)。その後、高市首相は会見に応じ、こう述べた。
「トランプ大統領から、中国訪問についてかなり詳細に説明をいただき、経済安全保障を含む経済とか安全保障など、中国をめぐる諸課題を中心に意見交換を行ないました。これからもインド太平洋地域情勢への対応に緊密に意思疎通を行っていくことで一致いたしました」
このあまりに形式的で毎回同じ発言を、信じることができるだろうか?
高市首相は、さらに以下のように、内容なき発言をした。
「本日も大変よい議論ができました。トランプ大統領との間で揺るぎない日米同盟を確認することができました」
「来月のG7サミットの機会に会うことをお互いに楽しみにしようということで、緊密に連携をしていきます」
来月のG7は、フランスのエビアンで6月15日から行われる。前日の14日は、トランプの80歳の誕生日で、ホワイトハウスで盛大なUFCの試合が行われる。G7でトランプにオベンチャラを言うのは高市だけになったいま、トランプ欠席の可能性は大いにある。
■まるで企業トップを携えた中国への朝貢団
今回の訪中での最大の話題は、なんと米トップ企業のCEOたちが、揃いも揃って同行したことだ。トランプは、首脳会談の冒頭で、誇らしげにこう述べた。
「私は世界でもっと力強い30人のビジネスリーダーを連れてきました。そして、全員が来ることに同意しました。 2番手や副大統領を送り込んだわけではありません。各帝国のナンバーワンを欲しかったのです。ジェンスン・フアン、ティム・クック、イーロン・マスク------地球上で最高の面々がここにいます、ちょうどあなたの目の前に」
さらに続けて、「今日、彼らはあなたと中国に敬意を表すためにここにいます-----ビジネスをし、投資し、構築する意欲を持って来ているのです。 われわれのほうから100%の相互性を求めます」と述べたのである。
これでは、まるで朝貢団のリーダーではないか。中国皇帝に冊封国の代表団が謁見しているようなものだ。
