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山田順の「週刊:未来地図」
No.834 2026/06/02
これ以上「反中」(嫌中)を続けると日本は道を誤る!
先進大国となった中国を正視せよ!
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日本人は、なぜか中国を敵視し、中国人を嫌い、見下している。一般国民から、保守言論人まで、「反中」(嫌中:中国嫌い)感情から、中国を正しく見ようとはしない。
結局、それが、高市首相のあのような発言(存立危機事態)を引き出し、日本を窮地に追いやっている。別に、中国と中国人が嫌いでも構わない。ただ、「中国はいずれ崩壊する」「中国製品は劣悪」「中国人はマナーを知らない」などと思い続けると、日本は道を誤るだろう。
もはや「アメリカと並ぶ「G2」になったと中国を、正しく見るべきではないか。
写真:©️Chinanews .com
[目次] ─────────────
■「トゥキディデスの罠」と「建設的な戦略的安定関係」
■NVIDIAの半導体「H200」の売り込みを袖に!
■規制緩和して中国に歩み寄ったことが無駄に
■中国はすでにアメリカと並ぶ最先端技術大国
■AIでもロボットでも日本は中国の後塵を拝す
■中国製品なくして日常生活は成り立たない
■中国の「原薬」がないとクスリはつくれない
■爆発的普及フェーズに入ったEV、世界の6割を販売
■「なぜ、こんな国と戦争を!」とつくづく思う
■アメリカを尻目に世界最速で進む地球温暖化対策
■中国バブルは崩壊しない。まだ伸び代がある
■「反中」は無知とメディア報道が生み出した
■空前の人民元高。信じられない1元=約23円
■毛沢東の顔。キャッシュレスになり見ないで済む
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■「トゥキディデスの罠」と「建設的な戦略的安定関係」
先のトランプの訪中で、中国主席・習近平が持ち出した「トゥキディデスの罠」が、現在の世界状況を端的に表している。すなわち、米中の「G2」がいまの世界だということだ。
習近平はトランプに対し、「トゥキディデスの罠を超える答えを共に書こう」と言った。要するに無益な争いをやめ、ともに繁栄していこうということ。しかし、無学なトランプは習近平の発言の意図がわからず、ただただ中国を褒めることに終始した。これで、ディールがうまくと行くと思ったからだろう。
習近平は、そんなトランプのおだてには乗らず、両国関係を「建設的な戦略的安定関係」という新しい概念(言葉)で、定義した。首脳会談後、中国メディアはこの言葉を初めて使い、米中が新しい時代に入ったことを示唆した。
■NVIDIAの半導体「H200」の売り込みを袖に!
「トゥキディデスの罠」と「建設的な戦略的安定関係」以上に、私が注目したのは、NVIDIAのCEOジェンスン・ファンが急遽同行したにもかかわらず、中国から袖にされたことだ。
トランプは、首脳会談の席に、テスラCEOのイーロン・マスクやアップルCEOのティム・クック、エヌビディアCEOのジェンスン・フアン、ブラックロックCEOのラリー・フィンクなど、そうそうたるアメリカの主要企業のCEOたちを同席させ、習近平にこれだけのフルメンバーを連れてきたことを自慢した。
しかし、これはアメリカ企業にとって、どれほど中国市場が重要かというサインに過ぎず、習近平は足元を見て、トランプのディールにはほとんど応じなかった。当初言われていたボーイング500機購入は200機にとどまり、売り込もうとしたNVIDIAのAI向け高性能半導体「H200」の購入に関しては、肩透かしを食らったのである。
■規制緩和して中国に歩み寄ったことが無駄に
トランプは、半導体において周回遅れの中国が、間違いなくNVIDIA の「H200」を欲しがると考えていた。高性能半導体としては一段落ちるとはいえ、中国はこれを生産できる能力をまだ持っていないからだ。
そのために、アメリカ政府は2025年末から2026年初めにかけて、NVIDIAの「H200」の中国市場向け輸出を条件付きで承認した。しかも、トランプ訪中直前に、商務省は、アリババ、テンセント、バイトダンスなど中国の約10社が「H200」を購入することを承認した。
ところが、北京は購入を見合わせた。おそらく、ファーウェイなどの国内テック企業が、高性能半導体をつくる目処がついたからと思われる。要するに、思っていた以上に中国の技術革新は進んでいるのだ。
NVIDIAにとって、中国市場は輸出規制を受けながらも一定規模を維持してきた。2025年上半期において中国は、アメリカ、台湾に次ぐ第3位の市場で、売上全体の約15%前を占めている。この市場を「H200」はさらに拡大させるはずだった。しかし、中国はそうはしてくれなかった。
