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山田順の「週刊:未来地図」
No.835 2026/06/09
「石油本位制」から「AI・半導体本位制」へ!
ドルか人民元か、円は圏外か?
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イラン戦争で、改めて「石油本位制」を意識することになった。しかし、それと同時に、石油が貨幣の価値を裏付ける時代は終わるのではないかと思うようになった。これからは、石油に代わってAI・半導体が価値の裏付けになる。いわゆる「AI・半導体本位制」になる。
では、その覇権を濁るのは、やはりアメリカ(ドル)なのか? 中国(人民元)もありえるのか? そして、日本(円)は?
[目次] ─────────────
■この世界の仕組み、価値観をAIが変えてしまう
■AIは技術ではなく、現代文明そのものである
■AIをリードする「トップ15」と半導体トップ企業
■ビッグテックの半導体を独占するTSMC
■TSMCが台湾株式市場の時価総額を世界第5位に
■エヌビディア不要。独自の進化を遂げる中国半導体
■半導体の取引はほぼすべてドルで行われている
■AI、半導体への大規模投資もすべてドル
■世界覇権維持のための「AI・半導体本位制」
■AIインフラの売り込みで人民元経済圏ができる
■「ペトロダラー」(石油本位制)の終焉は近い
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■この世界の仕組み、価値観をAIが変えてしまう
生成AIが登場してからもう3年近くが経つ。以来、日本では、「どうAIを使えばいいのか」という話ばかりになった。しかし、今後の世界を見据えると、話の核心はそんなところにはない。
AIを使いはじめ、まだ、どう使いこなしたらいいのかわからない私が言うのもおこがましいが、AI革命は、おそらく、この世界の仕組み、価値観を変えてしまうくらい大きなことだ。
すでにアメリカでは、これ以上AIを進化させるのは危ないという議論が起こっている。つい先日、アンソロピックはAIの開発ペースを減速するようAI開発各社に呼びかけた。イーロン・マスクなども、そのような考えを公表している。
AI革命が私たちをどこに導くのかはわからない。しかし、AIが今後の人類社会に決定的な影響をもたらすのは間違いない。
■AIは技術ではなく、現代文明そのものである
AIは単なるテクノロジーではない。
いまやAIがAIを設計し、AIがAIを最適化し、ビジネスも戦争も、人間活動のすべてが、AIなしではできない時代になった。安全保障、軍事、金融、通信、輸送、電力、インフラのすべてがAIと直結する。
つまり、AIこそが、根源的な価値を持つことになったのだ。
現在、米中は、半導体とAIを巡って、覇権争いをしている。しかし、これは技術開発競争ではない。レアアースやエネルギーなども絡んでいることを見れば、2つの現代文明の争いではないかと思える。
米中ともに、独自で先端半導体産業を持ち、独自でAIを開発している。これまでは、アメリカが大きくリードしてきたが、その差は縮まりつつある。
■AIをリードする「トップ15」と半導体トップ企業
現在、世界のAI市場を事実上支配しているのは、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ、アップル、エヌビディア、オープンAIという「トップ7」である。 そして、さらに広くとった「トップ15」には、中国勢のテンセント、アリババ、ファーウェイ、バイドゥ、バイトダンス、SMIC、カンブリコン、ムーア・スレッズ、エンフレイムなどが加わる。
このように、世界のAI覇権は、事実上、アメリカと中国による「トップ15」によって、ほぼ独占されていると見て間違いない。
では、AIに欠かせない半導体はどうか?
半導体製造を支配しているファウンドリ(製造受託)は、6割という圧倒的シェアを誇る台湾のTSMC(台湾積体電路製造)である。続くのが、韓国のサムソンとSKハイニックス。日本は、ソニーのイメージセンサー、ルネサス エレクトロニクスの車載用マイコン、キオクシアのNAND型フラッシュメモリなど、特定分野では強いが、メインプレーヤーではない。
製造装置では、露光装置をほぼ独占するオランダのASML、アメリカのアップルド・マテリアル、日本の東京エレクトロンなどが市場を牽引している。
現在、これらの企業の株価に投資資金が大量に投入されている。
