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山田順の「週刊:未来地図」
No.839 2026/06/30
日本より豊かな「リアル台湾」を知れば
台湾有事などあり得ないとわかる!
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高市首相とその応援団は、中国は必ず台湾を武力併合すると思い込んでいるようだ。ともかく、台湾海峡は波高しで、日本は有事に備えなければならないという。
そんな考えの根底にはなにがあるのか? どうやら彼らは、台湾は庇護しなければならない弱小な存在だと思っているようだ。それに嫌中感情が輪をかけている。
しかし、彼らは誤解している。現在の台湾のリアルな姿をわかっていない。わかっていれば、少しは考えを変えるだろう。なにより、台湾は日本より豊かだからだ。
そこで、今回は、データで見る「リアル台湾」をまとめてみた。
写真:台北のカウントダウン、101の花火(台北市交通部観光署)
[目次] ──────────────
■1人当たりのGDP、日本よりはるかに上
■庶民の日生活レベルにおいては日本より豊か
■TSMCが牽引する典型的な「外需依存型」経済
■台湾株式市場はインドを抜き世界第5位
■競争力ランキングで世界4位、日本は30位
■不動産を買っているのは中国人でなく台湾人
■移住目的台湾人にとって「東京の物件は安い」
■重要度が増す台湾海峡有事のコストは莫大
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■1人当たりのGDP、日本よりはるかに上
まず、われわれ日本人が、はっきりと認識しなければいけないのは、いまの台湾は日本より豊かだということだ。これは韓国についても言えるが、このことを端的に示しているのが、1人当たりのGDPである。
IMFが4月に発表した経済見通し(アウトルック)において、台湾の1人当たりのGDPは4万2103ドル(約618万円)に達している。これに対して、日本は3万5703ドルだから、約6500ドル(約105万円)も低い。
ランキングでいうと、台湾は31位、日本は42位である。
こんな台湾に対して、高市首相は、有事の際は「存立危機事態」にあたるとして、集団自衛権を発動する(つまり軍事的に助ける)と言ったのである。日本が日米安保によってアメリカの属国となっているとはいえ、この考えは納得できるものではない。
豊かな国(台湾は事実上の国)を、なぜ、貧しい国が助けなければならないのか?
そんなことをすれば、日本は必ず滅亡する。
■庶民の日生活レベルにおいては日本より豊か
では、もう少し具体的に台湾とわれわれを比較してみよう。生活水準を比較するもっとも大きな指標は、平均年収(平均賃金)である。
日本人の平均年収は約450万〜460万円(手取りは約330万〜350万円)。これに対して台湾人の平均年収:は約330万〜350万円(約69万〜75万台湾ドル)である。
額面だけを見ると、日本が上だが、台湾の物価は総じて日本より安い。しかも、外食文化が発達していて、屋台や街食堂(小吃)を利用すれば1食数百円(100〜150台湾ドル)で、十分食事は足りる。また、台湾は交通費(地下鉄やバス)が日本より安い。つまり、庶民の日常生活レベルにおいては、日本より台湾のほうがやや豊かである。
さらに台湾のほうが豊かと感じられるのは、税金だ。台湾には住民税がなく、所得税の最高税率(40%)も日本(45%)より低い。また、医療費も安い。台北の場合、高いのは不動産だけである。
ただし、最近は円安の影響で、1台湾ドル5円として見ると、物価は2、3年前の2〜3割増しに感じられ、日本より高いものもある。外食も高級店なら、日本より高い。
実際、最近日本旅行に来ている台湾人は、「日本は台湾より安い」と言う。
■TSMCが牽引する典型的な「外需依存型」経済
以上は、個人の経済についてだが、経済規模で見れば、日本のほうが上である。現時点での日本のGDPは約4.4兆ドルで、世界第4位(1位アメリカ、2位中国、3位ドイツ)。台湾は約1兆ドル(世界第22位)である。つまり、経済規模では、台湾は日本の4分の1強ほどとなる。
しかし、経済規模は人口要素が大きい。日本の人口は約1億2000万人。台湾は約2300万人だから、日本の6分の1弱である。それなのに、GDP規模は4分の1強だから、台湾のほうが経済としては上だ。これは、1人当たりのGDPに端的に表れている。
ただし、台湾経済は、産業がTSMCに代表される半導体受託製造(ファウンドリー)をはじめとするIT産業に特化しており、典型的な「外需依存型」である。これに対し、日本の産業構造は、自動車を中心に、素材、化学、工作機械など幅広く、GDPに関しては国内需要が約6割を占める「内需依存型」である。
このことをもって、台湾経済は日本より脆弱と見る向きもある。しかし、現在の世界経済では、切り札になる先端半導体産業を持った台湾のほうが、日本より上だ。これは、株価にストレートに表れている。
■台湾株式市場はインドを抜き世界第5位
台湾の経済力の強さを示しているのが、言うまでもなく株価だ。日本では、実体経済と乖離していると言われているが、台湾はそうではない。
ブルームバーグの報道によると、2026年5月時点の台湾株式市場は時価総額約4兆9500億ドル(約787兆円)に達し、インドを抜いて世界第5位の株式市場となっている。
ちなみに、トップはアメリカ(約75兆ドル)、2位は中国(約15兆ドル)、3位は日本(約8.3兆ドル)、4位は香港(約6.4兆ドル)である。
もちろん、台湾株式市場を牽引しているのはTSMC。TSMC1社で台湾市場の株式指数の4割以上を占めている。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)の2026年版の世界時価総額トップ100社のランキングでは、TSMCの時価総額は約1兆ドル(約160兆円)。世界第9位となっている。
ちなみに、1位はNVIDIA。日本のトヨタとソフトバンクは約0.3兆ドル規模で、TSMCの7分の1〜8分の1である。
